パンタグラフ型アーマチュア

2/13/11, 3/24

雑誌「オーディオ専科」の「TEST ROOM サテン M-18BX」(当時,オーディオ店で配布)より抜粋.

塚本 同一平面ということでは M-5 から一貫して同じなんですが、その少しあとからフォトエッジングによって振動伝達子をつくる技術を採用しまして これなどはトランジスタの技術の恩恵にあずかって非常に精密なものができるようになったんです。

斉藤 独特のパンタグラフ型アマチュアというのは、現在ではフォトエッジングでおつくりになっていると。これは M-5 あたりからということですか。

塚本 そうです。

「エッジング」は「エッチング」(etching) と藤野様からご指摘がありましたが,原文のままにしています 4/30/13).

この記事に基づいて「パンタグラフ型アーマチュア」を M5-45 の新技術としたのですが,藤野様から

≪M5-45 ,パンタグラフ型アーマチュア≫とありますが本當でございますか。パンタ型になつたのはM14からと承知しておりますが。
 《中略》
M6、M7はゴムを使用してゐた段階にあり、到底パンタ型には及んでゐなかつたと存じます。
とご指摘がありました(11 Feb 2011).それで検討した結果,M-11 までは針先をレコードに押し付けるバネの役割をゴムが受け持っていて,ゴムを排除するには,その役割を他で受け持つ必要があり,それがパンタグラフのカートリッジ本体に固着されている方の辺,すなわち,「パンタグラフ型アーマチュア」は M-15 からと思えてきました.M7-45 の取扱説明書の内部構造図M-14 のそれに似ているため,M7-45 もパンタグラフ型アーマチュアと思い込んでいましたが,言われてみれば,コイルの下方(カンチレバーと反対側)は隠れて見えません.

近藤様からいただいた VS-1000D新堀様からいただいた M6-8C のカバーを開けてみました(3/24/11):

VS-1000D (M5-45)M6-8C

画像でも隠れて見えないコイルの下方にはパンタグラフの辺など何もありません.アーマチュアの延長は画像で右下方向へ(ほぼ)直角に曲って,ネジの付いた金具でヨークに固定されています.これが下図(M-11 の構造図)の「レバー」で,その長さ(コイルから固定点まで)は,VS-1000D が約 2.5 mm,M6-8C は約 5 mm です.なお,M6-8 のアーチ型ダンパは切れています.

「レバー」に関しては,藤野様より「M11までの構造の一部について。」(16 Feb 2011)で,ご教示いただきました:

《前略》

右上の語群の中に他の圖では見られない語が一つあります。「レバー」であります。

《中略》

圖では向つて奧側、もし眞上から見た場合は右側にしか描かれてをりませんが、實際には左右兩側にあります。しかも、レバーと命名されてゐますが、むしろビーム(梁、細長い角材)と呼んだはうが良く、役割はレバーのやうなダイナミックなものではありません。《中略》用途はコイルの不正な前後動を抑制するものと思はれます。

《後略》

M-11 の構造図

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