サテンスパイラルピックアップ |
スパイラル(渦巻状)ムービングコイルピックアップは 当社において研究開発された全く独自の技術によって 世界にさきがけて実現された極 薄極微小スパイラルコイルによる ムービングコイルピックアップです。 この技術に関して 特許 No.234,637 No.236,678 その他 アメリ カ特許No.3,142,786その他 を有しております。サテンピックアップのSATIN〈繻子〉のように繊細なきめ細やかな再生音は いかなるピアニシ モをもくっきり浮き上らせ いかなるフォルテシモにおいても音がわれず ダイナミックレンジが大変広くなったように感じられ 演奏内容の繊 細豊富な再生表現には聞き慣れたレコードでも 楽団やレコードが変ったかと耳を疑うほどです。これは サテンピックアップの類のない音の分 離の良さによるもので 全く他の追従を許さぬところです。サテンピックアップによって 皆様のレコードコレクションの価値を再発見されます ようおすすめいたします。 種々の型式のピックアップのうちでムービングコイル型のピックアップが最高の自然な音色をもつものであることは 近頃では広く皆様に認めら れるょぅになりましたが次の三つの理由のためその御使用がはばまれておりました。 (1) 針の取替を自分ですることができず メーカーに返送して針の交換を依頼しなければならない。その間に永い時日を要し或は予備のピックア ップを必要とし高額の費用を要する。 (2) 一般に出力電圧が非常に小さくて特別の増幅器や入力トランスを必要とする。 (3) 構造がデリケートでお子様や一般の方では使用が困難である。 これらの欠点があっても ムービングコイル型ピックアップはその最高の音色のゆえにプロフェショナルな放送や 高級なアマチュアの間では使 用されてまいりましたが サテンスパイラルピックアップの出現によって プロフェショナルな最高の音色が広く皆様の御家庭のものとなりまし た 即ち (1) 針の取替を自分でしかも指先だけで容易に行える世界で唯一のムービングコイルピックアップてある。 (2) 出力が他の製品にくらべて数拾倍も大きいので 特別の増幅器や入力トランスを必要としない (3) 構造が合理的に設計され充分に内部が保護されているので クリスタルP.U.以上に丈夫であり,オートチェンジャーにも使用できる という ようにオーディオファンの夢が実現されております。
ムービングコイルには 世界で最初のアルミリボン線を使用し スパ イラルコイルの巻巾は僅かに0.08mmしかありません。また巻枠などは 全く使用せず極細軽量なアルミリボン線(0.08mm×0.008mm)の使用と あいまって さらにM6−45型以後は三角形のスパイラルコイル(第 1図)を採用することにより以前の円形スパイラルコイルの1/3と振動
子の実効質量を極小とし 秀れた過渡特性 同時になっている無数の 音が相互に混りあって識別されなくなることがない分離のよさ平坦な 高域特性を得ております。しかも磁極に挿入される部分は直線になっ ており有効なコイルの長さは少しも減少しておりませんので出力の低 下はありません。 シリコンゴムとシリコングリースによる制動は ソリッドな極微小ス パイラルコイルと共に絶対に他の追従を許さない音の分離のよさと全 く平坦な周波数特性を保証し高域の歪を特に小さくしております。い ままでのダンパーは支柱として振動子を支えておりましたので左右方 向のコンプライアンスは大きくても上下方向のコンプライアンスは柱 | を縦に圧縮する必要がありどうしても大きくならず 左右と上下のコ ンプライアンスは方向によって異りました。しかも前後のコンプライ アンスは無用有害に大きくてぐらぐらしていました。M6−45・M7 −45は第2図のようにダンパーが橋渡して振動子を吊る形式となりま
したので 図のようにレコードの音溝に垂直な面内においては上下左 右及あらゆる方向について均一で大きなコンプライアンスになってお ります。吊橋式ダンパーはサテンの特許です。 針の交換は指先だけでどなたでも自分で簡単に行うことができる ム ービングコイル型では世界で唯一のピックアップで構造が合理的に設 計され内部が充分に保護されており さらにM6−45・M7−45では 針の保護カバー(第3図)がつき 丈夫で気軽に御使用になれます。 従来の針先のやわらかな高いコンプライアンスの高級ピックアップは オートレコードチェンジャーに使用できるほど丈夫でないのみならず アームの落下のショックで針がもぐりさらにピックアップがレコード の外へはじき出されて使用できないとされておりましたが M6−45 ではサテンの特許によって針先の非常にやわらかな最高級のピックア ップでありながらオートレコードチェンジャーに使用できるようにな りました。 |
第3図 交換針 クロストークは小さいことが望ましいのは勿論ですが 小さいだけで なく それが歪んだ波形として相互に他のチャンネルにクロストーク しないことが必要です。もしこのようなことがありますと音の方向感 の分離が悪くなるのみならず相互に混変調歪を発生して 再生音を不 協和音的にきたなく濁らし 各楽器の識別もさだかでなく音の分離が 大変悪くなります。音の方向感からだけならば高音域のクロストーク はさほど重要と考えられませんが上述の理由から高音城におけるクロ ストークの大きさとその波形歪の性質とが重要であることがわかりま す。これまでの他のピックアップでは全生産品の特性をコントロール して一様に小さくすることは不可能とされてきましたが サテンでは この問題を完全に解決し 全音域特に最高音域におけるクロストーク と波形歪とを極小にして M6−45・M7−45を完成しました。ピッ クアップにおける上述の差を識別するには スクラッチノイズの大き さとその音の性質の相違に御注目下さい。本来スクラッチノイズはい わゆるホワイトノイズと云われるもので 低周波数より高周波数まで 連続的に存在しており あらゆる色の光が連続的に一様にあるときに は太陽の自然光のように無色(白色)で全く気にならないのと同じに フーといったほとんど気にならない音です。同じレコードでもM6− 45・M7−45でおかけになればスクラッチが非常に少なくなって全然 気にならないことに驚かれます。もう一つの識別の目標としては レ コードより取り出される再生音の内容の豊富さによります。同じレコ ードでも あるピックアップでは合唱であることしか分りませんが あるピックアップでは幾人かの女性と幾人かの男性がハーモニーを作 り出しているのが分ります 更に秀れたピックアップでは 各人の持 つニュアンス 肉声のふっくらとした温かみまで分ります。このような ことを再生内容の豊富さと呼びます。今日ではピックアップも 高音 がのびているとか 低音が豊かであるとか 色彩感があるとかでよろ こばれる時代は去りつつあります。実際の演奏に接して 高音がのび ている………などと云う人はいないでしょう。上述のような感じのピ ックアップは やはり何かが強調され 何かが不足しており 何かの くせをもっていることを意味します。これらは ちょっと聞いてある 種の魅力を感じることがありますが じきに耳につきだし我慢のでき ないものに変ります(このような音のとりことなってしまってぬけ出 せなくなっている人もおりますが)。これはなぜかと云いますと人間 の耳にはマスキング効果というものがあり 再生音にくせがあります と たとえそれが耳にここちよさを与えるものだったとしても どの 音にもそのくせがつきまとって演奏内容 芸術的個性をマスク<陰蔽> してしまうからです。そこで再生内容の豊富さの減少ということがお きます。そして再生音にこのような何らかのくせがある場合には 人 間はこの陰蔽されるもののなかから自分の聞こうとするものをより出 す努力を強いられます。度の合わないメガネをかけた時なんとかはっ きり見ようとして頭がくらくらするのと同じで 生理的に疲れるやか ましい再生音が発生するわけです。上述のことは再生音のくせのみな | らずスクラッチ音の性質及大きさ ターンテーブルのワウ及ランブル 増幅器のハム 外部からの雑音にも関係します。増幅器 スピーカー 固有のくせにはふれませんでしたがピックアップよりはるかに劣るも のも多くありますがそれでもなおピックアップの優劣は前述の観点よ り判別できます。ここで再生室に侵入する騒音も大敵です。サテンス パイラルピックアップは極度に合理化された強力な磁気回路とコイル 導体線の大きな実効長により 一般の低インピーダンスのムービング マグネット型ピックアップより大きな出力が得られます。他の追従を 全く許さないこの高出力が 再生音を増幅器などから誘導される雑音 室内に侵入する騒音から守ります。再生音の品質と出力電圧の積は その技術レベルでは一定で 出力電圧を小さくして音質を高めること は容易です。世間ではこの間の事情を 低出力のもの程音質が秀れて いると誤解する傾向がありますが 低出力では雑音や歪に再生音か陰 蔽されるばかりで 再生音の内容の豊富さが著しくそこなわれます。 サテンのスパイラルピックアップは 再生音の品質が他を断然ひきは なしており しかも出力電圧が他のムービングコイル型の0.04mVから 0.4mV 程度に比しM6−45では実に 5mV M7−45でも1.5mV の高出 力を保ち 従ってその積は他のもの比べて数10倍より数1 00倍の高品 位のピックアップであることが分ります。 在来のピックアップに比べてレコードからピックアップする内容の圧 倒的に豊富なサテンM6−45・M7−45はレコードのマスターテープ と全く同じ音がします。日頃マスターテープを聞く機会にめぐまれて おられぬ方は はじめは相当異った感じを受けられると思いますがす ぐサテンの優秀さをお分りいただけます そしてこれこそ自分の求め ていたものと御満足いただけます。M6−45・M7−45は いつもマ スターテープを聞いておられるようなピックアップに対し最も高い要 求をお持ちの方にも これからはじめてステレオに親しまれようとす る方にも間違いなく選ばれるピックアップです。 楕円針が理想に近い再生針の形状であることは周知となりましたが これは針先が完全な形状に研磨されていることそして向きがレコード 溝に正しく直角に植えられていることが絶対に必要とされます。とこ ろが0.2×0.8ミルの楕円針とは0.005mmの短半径と0.020mmの長半径と をもつ楕円形の切断面の長径でレコードに接触するもので これが正 確で滑らかな曲線になっているかどうかは最低1/10即ち0.0001mmまで 測定しなければなりません。サテン音響では楕円針がレコードの溝に 接触する点における形状と楕円の軸の向きも0.0001mmの精度で測定す る方法を確立し このたびはじめて楕円針付ピックアップの発売にふ み切りました。針のメーカーより納品されたものを測定し1/3以下の合 格率という厳格な規準にしたがって検査しております。当初のものは合 格するもの皆無というありさまでしたが これは外国製の有名ピック アップに付いても同様で一時は当社では楕円針付の発売は当分見合せ ざるを得ないと考えたほどでした。その後国産メーカーの努力により 外国製より秀れたものが生産されるようになりましたので近い将来は もっと高い合格率となると思いますが現状ではやゝ高価になりまして もその価値は充分にあります。 レコードによっては正確な 0.5ミルでもレコードの溝の底が再生針に 接触するものも少なくなくピックアップのビリツキと誤って考えられ ることも多かったようです。楕円針ではこの点非常に有利でレコード をえらばなくなりトレースの性能も向上しさらに軽針圧で完全にトレ ースします。いうまでもなく上述のようなことが問題となるにはまづ ピックアップの性能が極限まで 高められていることを絶対の条件と するものであって どのピックアップでも楕円針とすれば上述の効果 |
取扱い上の注意 |
(割愛)
針の交換 |
(割愛)
ステレオ・モノーラル切換図(割愛)
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川崎市の藤野様から(M6-8C/E の情報と同時に)以下の情報をいただきました(18 Feb 2010):
M7−45の吊り橋式ダムパーは第2圖のごとく角柱状でありますが、私のはM8から採用されたと言うアーチ型ダムパーであります。このようにサテンと言う會社は、或いは社長の塚本さんと言う方は、新しい技術を古い製品にフィードバックさせて常に商品のレヴェルアップを圖って居られたのだと感心致しました。これではサテンのファンをやめる事は出來ませぬ。M6-8, M7-8 などの総合カタログに解説. (9/16/23)
藤野様から「レコード芸術」の広告をいただきました(2/25/10,所用で掲載は 3/25):
M7-45 取扱説明書の「サテン スパイラル ピックアップの特質」と同じ解説(コイルとダンパーの部分だけで,「針の交換は…」以後はなし)の後,価格と規格が掲載されています(M7-45 の価格と規格は取扱説明書により詳しくあるので,M6-45 の分のみ転載). |
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■M6-45, M6-45E (楕円針) 規格 | ||
針 先 半 径 | ST0.7ミル, ST0.5ミルダイヤ | |
インピーダンス | 10〜20,000c/sにて約40Ω | |
負荷インピーダンス | 50Ω以上100KΩまで可 | |
周 波 数 範 囲 | 10〜20,000c/s | |
クロストーク | 1,000c/sで-30dB, 10,000c/sで-20dB | |
バ ラ ン ス | ±0.5dB | |
針 圧 | 0.5〜3gまで可, 最適値1〜1.5g | |
コンプライアンス | 20×10-6cm/dyne | |
出 力 電 圧 | 5mVR.M.S. | |
自 重 | 14.5g |
さらに,高音域が顕著に低下していた M7-45 の改善事例をいただきました(26 Feb 2010):
周波數特性(f特)を調べました所、1kHzより低い方はフラットでありますが、1kHzから高い方へ進むにつれて、まるでRIAAの再生特性のようにぐんぐん落ちまして10kHzでは1kHzの45%、18kHzでは22%にまで落ちております。(17 Feb 2010)
どうせ使えないなら、いけないときつく言われてはおりますが、中を見てみようと(昔、M6を開いて見てサテンさんから叱られました)ねじを外して中を見ました。すると左右のコイルの引き出し線が共に後部内壁に接触しているのが見えました。別に深く考えた訣ではありませんが、接触していない方が良いのではないかと思い、細いピンセットで慎重に兩方とも内壁から離し、再びカヴァーをねじ止めしました。この時点でダラ下がりが直ったとは思っても見ませんでした。再測定の結果,10 KHz は 110 % と正常になり,18 KHz は 60 % まで(-13 dB から -4.4 dB へ)改善したそうです.(リード線のコイルに比較的近い箇所が内壁に接触すると,リード線がたわんでコイルが動き出すまでの時間遅れが中音以上で無視できなくなるため?ほこりによる高音域の低下もコイルの振動が高音でより阻害されるのが原因?)