さらに完全な再生をお望みの方に

 制動機構にゴムを用いないカートリッジになって ヴァーティカル・アングル(後
述)の補正がこれまでにもまして有効になりました。このアングルのちがいによる音
質の差は円針と楕円針の差どころではありません。 臨場感・力強さ・繊細さも増し
余韻やハーモニーの再現も また《音のバランス》もみちがえるほどよくなります。

 レコードの音溝は 録音カッターによ
って ある角度をもって刻まれていて
これをヴァーティカル・カッティングア
ングルと呼びます。(第1図A)
一方 これを再生するカートリッジもあ
る角度をもち これをヴァーティカル・
トラッキングアングルと呼んでいます。
(1図B)AとBとがずれていることを
ヴァーティカル・トラッキング・エラー
があるといい 高調波歪などの発生はも
ちろん 音溝の微細構造をとりこぼすこ
とになります。
《角度の補正》
 サテン・カートリッジのトラッキング
・アングルは M−15や New M−11で
は RIAA (米国レコード工業会) など
の推奨している15°に合わせてあります。
そしてM−14では ポピュラーレコード
は23°のものが多いため これに合わせ
て23°に設計してあります。
New M−11=B:15°M−15=B:15°
M−14=B:23°
 そこで ■B:15°のカートリッジで
A:23°のレコードを再生する場合第2
図aのように カートリッジ前部にスぺ
ーサーを入れて下さい。また ■B:23°
のカートリッジでA:15°のレコードを
再生する場合はb図のように後部にスぺ
ーサーを入れて下さい。こうすれば ヴ
ァーティカル・トラッキング・エラーを
なくすことができます。
 第3図は A:23°のレコードをサテ
ンのB:15°のカートリッジで再生した
場合と スぺーサー(+8°)を用いて
B:23°に補正した場合の 高調波歪の
減少を示したものです。同様にA:15°
のレコードをサテンのB:23°のカート
リッジで再生した場合も歪が減少します。
(しかし高調波歪の減少そのものよりも
アングルの適合による音溝の微細構造の
正確な再生が 音質向上に大きく関わる
ものと考えられます。)
  10°〜15°のレコード
ドイツグラモフォン ロンドン(英国・
デッカ) テレフンケン EMI 英国
フィリップ CBSソニー など

   23°のレコード
オーディオ・フィデリティ キャピトル
コマンド コロンビア/エビック カッ
プ(メダリオン) EMI(エンジェル)
マーキュリー MGM RCAビクター
(カムデン) ヴアンガード グラモフ
ォン日本プレス コロンビア日本プレス
VOXなど

 もちろんサテンカートリッジはそのま
までお使いになっても どんなカートリ
ッジよりも秀れた再生をしますから 通
常は一枚一枚のレコードについて あま
り神経質になる必要はありません。また
すべてのレコードについて詳細・正確な
データを入手することは困難ですので、
音質に疑問を感じられたとき 23°ある
いは15°に補正してみて下さい。音質の
向上から逆に レコードのカッティング
アングルを知ることができます。

● 尚 とりつけシェルによって角度が
まちまちですので一概にはいえませんが
製品に添付のスペーサーをお使いになれ
ば一般に適当です。─────────
 

〒603 京都市北区小山下総町47 (株)サテン音響

SATIN

M-117 のトラッキングアングルは 20°.M-18, M-20, M-21 は取扱説明書の側面図より M-117 と同じ?

参考:M6-45, M7-45 の取扱説明書


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