Mac OS X の問題
Mac を初期から趣味的に使い続けている私にとっては,OS が落ちないとかプロ的なメリットがあっても,趣味的に楽しいものが失われた X にはまったく魅力がありません.スパムメール対策でしかたなく 10.3 を数カ月メインに使っていた経験から,Mac らしくなくなった(= Win 的に改悪された)点をいくつか挙げてみますと,
- わざわざ Dock に入れなくても,デスクトップの好きな場所に置くのが Mac OS.ところが X では,ファイルをデスクトップにドラッグすると,コピー中のダイアログが出た(ファイル・サイズが小さいと気付かないが)…起動ボリューム(ディスク)以外のパーティションにあるファイルは,起動ボリュームの User:UserName:Desktop にコピーされてしまうという信じられない仕様.実際,そのファイルはパーティション内の元の場所に残っている.Mac OS ではパーティション内で(Desktop Folder に)移動するだけ.
- Mac OS では Finder のウィンドウがまさにマルチ・ウィンドウ(フォルダを開けるとそのウィンドウが別に開く)だが,X では Win と同じシングル・ウィンドウ.変更できるとは言え,初期設定の影響力は大きく,よく Windows でなく a Window だとけなしていた.(まあ,素人さんの場合,マルチ・ウィンドウは混乱するのでしょうが.)そればかりか,マルチ・ウィンドウにしても,
- Mac OS ではフォルダとウィンドウが1対1対応で分かりやすかったが,X ではカラム表示で切り替えると,対応がむちゃくちゃになって混乱する(素人さんとは混乱が逆?).おまけに,
- ファイルなどを複数選択して“情報を見る”と,Mac OS では個々にウィンドウが開いて,個々の情報が表示されるが,X ではまとめて一つのウィンドウが開くだけ.いかにも Win 的!(10.4 では,個々に開くようになった.)
- デスクトップをクリックすると,Mac OS では Finder のウィンドウ(フォルダ)が前面に出るが(Mac にとっては自然な反応),X ではなにも起らないし,Dock の Finder アイコンをクリックすると Finder のウィンドウが開いているかどうかで動作が異なり,(次が予想できないので)とまどうのみならず,
- 例えば,マルチ・ウィンドウに設定した Finder でフォルダをいくつか開いておいて,適当なドキュメントを開き(アプリケーションが起動し,そのドキュメントのウィンドウが最前面に来る),見えているフォルダのウィンドウ(ドキュメントのウィンドウで一部隠された)をクリックすると(そのウィンドウが最前面になる),Mac OS ではすべてのフォルダのウィンドウがドキュメントのウィンドウの前に来る.X では他のフォルダのウィンドウはドキュメントのウィンドウの背後の(に隠れた)ままで(Dock の Finder アイコンをクリックすると Mac OS のようになるが),さらにそこで,最前面のフォルダのウィンドウを閉じると,ドキュメントのウィンドウの背後にあったフォルダのウィンドウが(どれか一つだけ予期せずに)最前面に来て,たいへん気持ちが悪い.(前項目も含めて X-Assist で Mac OS と同様にできることを 2014 年 2 月に知った.)
- 一見使いやすそう(で Win と同じよう)なファイル・ダイアログでフォルダを開くと,そのフォルダの内容(ファイルなど)すべてが右のカラムから左のカラムへ瞬時に移動し,一瞬何が起ったかわからず,とまどう.(まあ,Mac OS でも以前からファイル・ダイアログ内の操作が不便で,ACTION Files や Click, there it is! といったユーティリティや Navigation Service が開発されてきた歴史はあるが.)
- Mac OS では System フォルダ内も GUI 的で,ファイルの役割がわかり,楽しかった.System フォルダ内のファイル数も 2000 程度から実に 15 倍程度に! ますます個人から遠ざかる「パーソナル」コンピュータ.「パソコン」とは,なんて軽薄な言葉.System フォルダ内のファイル数なんて一般人には関係ないと思う人は,ファイル共有(Mac OS のコントロールパネル)を起動してみなさい.異常な数のファイルのせいで,開始までに思いっきり時間がかかる.Mac 同士を接続して簡単に相手のファイルにアクセスできるのが,Mac の「売り」の一つだったはず.ファイル共有なんか使わないと言う方でも,X を含むボリューム(ディスク)を Sherlock で検索すると長らく待たされる(索引の設定によるかもしれない).
- ファイルをコピーするとき,コピー先に同じ名前のファイルがあるとアラートが出るが,そこで Stop (Cancel) すると,ジョブ(コピー)が進行しないのに X ではプログレス・バーが出る.これは変と思っていたが,Win も同じだった.
- Mac OS では「システム終了」ですぐに電源が落ちるが,X ではかなり時間がかかる.使ってないときは AC アダプタ(コンピュータ)への給電自体を止める私はイライラする.これも Win 化.
- フォルダのウィンドウにスクロール・バーがあるとき,スクロール・バーが不要になるようにファイルの位置を移動しても,スクロール・バーが表示されたままだったり,移動が不十分でスクロール・バーが表示されるべきなのに表示されなかったりと,Win よりひどい?
- 起動ボリューム(ディスク)以外のパーティションの1つをゴミ箱に捨てると,起動ボリューム以外の他のすべてのパーティションもアンマウントされてしまう.Mac OS では捨てたパーティションだけ.
- ボリューム(ディスク)を他のボリュームにドラッグ&ドロップするとボリューム内の全(visible)ファイルがコピーされると思い込んでいて,元ファイルを消すと大変なことに! X ではエイリアスが作成されるだけ(コピーするには option キーを押す).
- Mac OS では,開いているフォルダはアイコンでわかるようになっているが,X ではわからない(Win と同じシングル・ウィンドウでは問題にならないのでしょうが).
- MS-DOS フォーマットのボリューム(ディスク)にファイルをコピー(または新規作成)すると,そのファイル名の前に ._ の付いたファイル名のファイルができてしまう(Finder では表示されないが,Terminal.app より ls -la で見るとわかる).ファイルの数だけ(階層的なフォルダ内のファイルも)できるので,有名な .DS_Store 問題よりも始末が悪い.(Disk Utility.app で disk image を作成すると,簡単に試せます.)http://docs.info.apple.com/article.html?artnum=106510-ja に,元のファイルの resource fork と言い訳されているが,data fork だけのファイルをコピーしたときの現象(Mac OS X Tiger と Panther)!
- X 自体の問題ではないが,Apple Mail (Mail.app) の問題
- Apple Mail で送信したメールが文字化けする問題(discussions.info.apple.co.jp/WebX?14@187.AcOVamd79th.3@.efd7768)は,Apple が公開している対策(docs.info.apple.com/article.html?artnum=301986-ja)を施しても,携帯電話で受信すると文字化けしていることがある.携帯電話からのメールには Shift-JIS にない文字(例えば ECB3 電話のマーク)が含まれていることがあり,その本文を引用して返信すると UTF-8 で送信されてしまう.他の事例では,「FULLWIDTH TILDE」(UTF-8 で EFBD9E,Shift-JIS にはない)と「WAVE DASH」(E3809C)の問題がある.どちらも見かけは「〜」だが,Web ページから Apple Mail に Copy & Paste すると,前者だった場合は UTF-8 で送信されてしまう.(ちなみに,Windows では普通にインプットすると前者になるようで,Outlook でも UTF-8 で送信されてしまうし,くだんの Web ページも Windows で作成されたものと思われる.)不適切な改行問題もそうだが,自分の都合に合わせて勝手に変えてしまう,まさに Windows のような Apple Mail は危なくて使えない.インターネットの初期からのルールを正しく守っている Mac OS の Eudora-J (Pro でなく freeware の方), Musashi, PostinoClassic, SweetMail ではまったく問題ない.Apple Mail ついでに,
- メール本文を Plain Text で Save As(保存)すると,ファイル名に .txt が勝手に付けられ,Finder で除こうとすると,うるさい確認が出てくる.これはまさにファイル名の一部でファイル・タイプを表わすという原始的な OS への退化で,高度な Mac OS では,File Type Code(docs.info.apple.com/jarticle.html?artnum=55381-ja)でファイル・タイプを表わし,同じタイプでも Creator Code で開くアプリケーションを変更できる.さらに,
- Plain Text で Save As したファイルは Shift-JIS であるが,ファイルの改行は LF(UNIX)になっていて,Mac OS(CR)との互換性を考えない安易な移植.また,そのファイルを Shift-JIS アプリ(AppleWorks 6.2.9 など)で Open して,本文の一部を Copy し,ファイル名として Paste すると,文字化けする(ファイル名は Unicode なので,仕方のないことではあるが).また,
- Apple Mail (2.1.3) のエディタで文字(作成した文)を Copy して Shift-JIS アプリに Paste すると,ほとんどの文字は正しく表示されるが,「かける」を変換した「×」(Shift-JIS で 817E)は ? になってしまう(ちなみに,TextEdit で同様にすると,UTF-16 で Copy されるので全ての文字が化ける).また,「…」(Shift-JIS で 8163)は,Apple Mail のエディタでは「...」と表示される.これは,勝手に ASCII の C9 に置き換えられるためである(もともと英語の Mac OS では C9 が「...」で,日本語の Mac OS で英語のアプリを使った場合,それが文字化けして File/Open などの後に半角カタカナの「ノ」が付く).幸い,「×」も「…」も送信や Save では正しい Shift-JIS になる.なお,受信した文章にそれらが含まれている場合も,Apple Mail のエディタでは同様の不審な挙動をする.
- iPhone (iOS 7) から携帯へ送信したメイルが文字化けして読めないと返信があった(2017 年 8 月).全角 33 文字と半角の空白(iOS 7 では半角になってしまう)1つを含む行(改行までの1行)が原因となって,7bit(標準)ではなく quoted-printable で送信されたメイルを携帯が処理できなかったためで,全角文字 (2 bytes) の中に ASCII 文字 (1 byte) の入っている1行が長くなると quoted-printable で送信される.ASCII が1文字だけなら全角は 32 文字まで 7bit で送信されるが,始末の悪いことに 7bit で送信される1行の最大の byte 数は ASCII の文字数が増えると少なくなる(文字数だけでなく例えば ASCII が2文字で全角が 31 文字の場合,ASCII が続いていると 7bit だが,2つの ASCII の間に全角があると quoted-printable).
Mac でも LetterFix を使っていると 10.6 から同じ問題が起こる(10.9 までで確認.10.5 では 10.8 までと同じ LetterFix を使っていても 7bit で送信されるので LetterFix が原因ではないと思われ,使わないと utf-8 + base64 で送信されて別の文字化け問題が起こるかもしれない.なお 10.6 ではもともと「CRLFも含めて80バイト以上の行が本文に1行でもあれば,全体が quoted-printable になってしまうようだ」).なお Mac OS でも SweetMail や Musashi, PostinoClassic は quoted-printable を処理できる.
- 10.5 の問題(一部は 10.4 でも)
- 10.5 で起動している Mac に接続したボリューム(内蔵 HD のパーティションや USB メモリ,外付け HD)を Mac OS の Disk First Aid で検証すると,
問題:カタログ・レコード内の予約領域に不正なデータがある
(Problem: Reserved fields in the catalog record have incorrect data)
問題:BTree ヘッダー誤り, 0, 0
(Problem: Invalid BTree Header, 0, 0)
が検出される(前者にも2つの数値が続く).そのボリュームを Mac OS の Disk First Aid で修復すると「修復が完了しました」と出るが,再度検証すると後者は修復されていない.接続(マウント)しただけで必ずそうなるが(HFS+ フォーマットで確認),Mac OS X (10.4, 10.5) の Disk Utility.app では問題が検出されない.なお,10.4 でも自身の起動ボリュームに同じ問題が発生するが,他のボリュームには影響がない.10.4 では,Software Update (System Preferences.app) で JavaForMacOSX10.4Release5, 6, 7, 8, 9 をインストールする段階で問題が発生する(現在は,それまでに各種 update がインストールされ,最後にこれらの5つがインストールされる).
- 10.5 では各ボリュームに4つのフォルダ
.fseventsd
.HFS+ Private Directory Data
.Spotlight-V100
.Trashes
が作成される.これらは X の Finder では見えない(. で始まるファイルやフォルダは表示されない)が,Mac OS では1つ目と3つ目が見えてしまう.他の2つは Mac OS の Invisible フラグがセットされているので Mac OS の Finder でも見えない.3つ目と4つ目は 10.4 でも作成されるが,ちゃんとフラグがセットされているので Mac OS でも見えない.ちなみに,「Spotlightを無効化する」
- 私の Mac OS 起動マシンは Mac OS の起動ボリュームと Mac OS X の起動ボリュームに分けて(内蔵 HD を分割),前者には英語システムと日本語システムが入っています.10.5 の Startup Disk (System Preferences.app) には日本語システムが現れず(英語システムで起動してから日本語システムで再起動しなければならない),日本語システムで起動後に(再起動やシステム終了して)option 起動すると 10.5 のボリュームが現れない(「主に英語で使用」にしているが,関係なさそう).10.4 ではいずれの場合でも現れる.
最初の問題を修復するには初期化せざるをえないので,10.5 の Disk Utility.app で1つのパーティションを Erase してみたところ,そのパーティションと 10.5 起動パーティションが 128MB ずつ小さくなって,未使用領域が2つできてしまった.結局,パーティションから切り直し,10.5 は抹消.10.4 の Disk Utility.app でも同様で,Mac OS の Drive Setup で分割した HD を Disk Utility.app (Mac OS X Install DVD) でそのまま分割 (Current) すると,すべてのパーティションが 128MB ほど小さくなった.
Mac ユーザの移行を第一義に考えるなら,とくに最初の項目などは変更するべきではないと思います.Win と同じ仕様に変更(改悪)した(最初の項目が Win と同じ挙動だったとは,上の記事を書いた後になって知った)ということは,Apple 社を永年ささえ続けてきたファンよりも Win ユーザの取り込みを優先した,ということなのでしょう.その変更によって,はたしてどれだけの Win ユーザが移行してきたのでしょうか? 逆に,私なんか,2006 年の PowerBook G4 と iMac G5 (Mac OS X でしか起動しないが,PowerPC 最終なので買っておいた)以後,Mac は買わない主義を続けています.
参考:OS9を辞めないで!---MacOSXは誰のためのOSか(Mac Clinic)
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