サテンのM―18、M―117シリーズも勿論平面ムービングコイルの 平行振動でした。しかしその制動方法はコイルの三分の一をパラレ ルな二つの面よりなる一組によって、グリースを介して挟み込むこ とでなされていました。そしてこのシリーズの頂点にある、M―18 BPによって、サテンの音色理論は完成しそれによって、プリアン プPA―1、メインアンプMA―1、オーディオケーブルCA―1 などが生まれました。その結果平面ムービングコイルには、より厳 密なより完璧な平行振動をさせなければならないことが判明しまし た。M―18BPの子供達であるアンプがサテンのカートリッジをM ―20、M―21に生れかわらせたのです。 これらは一つの平面ムービングコイルを2組の平行な面、合計4 つの平行な面で特殊グリースを介在して挟みこむことによって、平 面コイルを強制的にコイル面に厳密に平行な滑り振動しかおき得な いようにしました。 M―20の2、M―21の2はこの2組を表わして名付けました。そし てこの方式をダブルパラレルダンピングと呼ぶことにしました。 M―20、M―21と、従来のM―18、M―117の平行振動の差異は、 現在の測定技術では検出されないほど微小ですが、耳で聴いたとき は、このような微小な相異が、これほど大きな進歩となってあらわ れることが信じられないほどです。 しかしサテンの音色理論からは、当然予想されることです。そして カートリッジにもう一個所不充分なところが残っていたとしたら、 このような劇的な音色の変化はおきません。例えば制動にゴムを使 用したとしたら、又コイルに鉄芯を使用していたら、それによる差 異は測定に検出されない程度であっても、それを残したまゝで、ど のようにコイルの平行振動だけを厳密、完璧にしても、このような 劇的な変化はおきません。 モノーラルは針先の水平直線振動で、ステレオは針先の平面振動 です。この振動は、カンチレバーの支点と針先とを結ぶ回動の軸の 長さに対して、カンチレバーに固着したムービングコイルの、各点 と支点とを結ぶ回動の距離が小さい程縮小され、その振動の面は、 コイルの各点を結ぶ直線に対して、いずれも直角の面内の振動です。 しかも単にテンションワイヤーのみの支点では、支点の位置は厳 密には一点にならず、カンチレバーの振動モードによって、点線で 囲んだような範囲で変動することが知られています。したがって、 | コイル(発電子)が支点に非常に近いものは、針先からみた実効質 量を減らすには有利ですが、コイルの振動は、針先の正確な平面振 動とはほど遠い、あいまいな振動となります。針先に比較的近く平 面コイルが固着されているものでも、カンチレバーに固着されてい る限り、コイルの各点の振動の面は決して同一の面にならず、針先 の振動とはかなり異なったものとなります。 一般のMC型カートリッジ 針圧について ディスクカッターのコイルとカンチレバーとは、コイルを完全な平 行振動させるために、両者を結合するロッドは、その両端で完全な フレキシブルジョイントになっています。M―20、M―21にあって はカンチレバーに対して、Vカットとの接触で完全なフレキシブル ジョイントですが、コイルに対しては一見直結されておりそのまゝ では完全フレキシブルジョイントとは言えません。しかし針圧を夫 々の推奨針圧にしたときは、フレキシブルジョイントとして動作す るように作られています(特許)。より厳密には推奨針圧附近で完全 フレキシブルになる特異針圧があり、ほんのわずかの針圧の増減で 音質が最善になる一点があります。それに針圧が一致したか、どう かは、元の演奏の張りつめた緊張感が、ピーンと伝ってくるかどう かで誰にでも判ります。一度調整すればそれは温度やレコードによ って変化はしません。又そのときトレース能力も最高になります。 | |
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