カートリッジは楽器と同じ。作り方一つで超高周波が出せる!

大橋 力 博士

 サテンみたいな面白いカートリッジが今でもあるといいですね。振動体のf0が非常に高い。これ以上やったら暴れちゃうところをビスコースなダンパーで絶妙にコントロールしている。まさに神業です。共振点を上手に高いところにもっていっているカートリッジは、おいしい音がするんですよ。今ならいくらでもそういうものは作れるはず。
 それが、今どうしても私が欲しくなるような新しい作品に出逢えない。サテンを作られた塚本謙吉さんのような理論と感覚の両面で卓越した天才のひらめきで、楽器として作ったらいいのができるでしょう。私は塚本さんからいただいて、いくつか銘機を持っていて、今も現役で使えるんです。サテンという言葉の意味は、繻子ですよね。ヌメヌメとしたなめらかさをイメージしているんだけど、すべて共振点が非常に高い、数十kHz、もしかしてそれ以上のところにある。それで引っ張り上げて、超可聴域、30〜40kHz位あたりがぐっともち上がってくるんです。

stereo 2002 年 7 月号 オノセイゲン氏との対談「CDの音は脳深部の活性が落ちる!」p. 241 より抜粋
大橋先生,音楽之友社 ステレオ編集部 の掲載許可済み

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